日時:2014年9月20日(土) 天候:晴れのち曇り
コースタイム:榑ケ畑登山口9:38-汗フキ峠9:50-5合目10:12-お虎ケ池10:37-霊仙山頂11:01/11:10-最高点11:18-(西南尾根)-今畑登山口12:38-榑ケ畑登山口13:22 メンバー:単独
霊仙山は久しく登っていなかったが、近年ニホンジカの食害がひどく山の風景が一変したと聞いていたので、地元伊吹山でもシカ対策に苦労していることもあって、どんなんか見るため登山口に榑ヶ畑に向かった。
10年ほど前の2003年ににマウンテンバイクを担いで登って以来で、今回は榑ヶ畑から頂上、西南尾根から今畑、そして榑ヶ畑に戻る周回コースに決めた。登山口の東屋は林道工事の影響で使えず物置状態。その近くに「落合コースは通行不可」とわかりにくい表示があり、帰りに今畑から落合経由で汗フキ峠に戻れるかちょっと不安に。
汗フキ峠に着いても落合方面に行けないとの表示もなく、周回コースと決める。快適な尾根を登って樹林帯を抜けると、何と斜面一面に綿毛のついた同じ植物がずーっと覆っている。後で調べてみるとアフリカ原産の「ベニバナボロギク」。シカの不嗜好性植物だった。頂上部の平たん地に上がっても見事に一面ベニバナボロギクの異様な光景。その他はやはりシカの不嗜好性植物のマツカゼソウ、イワヒメワラビ、ハナヒリノキ、ニシノホンモンジスゲなど。
以前、バイクを担いだ時は頂上部一帯はササが繁茂し、ササの葉の朝露で服がひどく濡れた記憶があるが、今そのササはなく、ただ地表部に白く枯れてしまった根が確認できるのみ。報告によると、鈴鹿山脈のうち霊仙、御池の食害がひどく、雨乞、仙ケ岳など全域に被害が及び、鈴鹿を含め県内に生えるイブキザサは上部に成長点があって、上部を食べられ続けるといずれ完全に消滅するということで、まさに霊仙はそうなっている様子。地元伊吹山もシカを放置しておけば近い将来、そのような惨状になるのかと思うと、無力感とともに空恐ろしくなる。
霊仙山頂に11時着。展望はシカの食害の「おかげ」で白い岩が点在するカルストの台地が望め、遠く琵琶湖や伊吹など湖北の山々、反対には鈴鹿の山々が望める。遠くはいいのだが、目の前の経塚山や避難小屋あたり、最高点から西南尾根あたりに裸地が広がり、10年前に登った写真と比べるとその惨状に愕然とする。
下は、左が「今回2014年9月の写真」で、右が「2013年10月の写真」で、たまたまほぼ同じ場所を撮影しており、その違いを改めて確認すると、如何にニホンジカの食害が酷いかがわかります。クリックして大きくして見てください。
左「今回2014年9月の写真」 右「2013年10月の写真」
曇り空で寒いので、早々に西南尾根コースへ出発。最高点を経て、しばらくは岩がごつごつして歩きにくい平たんなルート。白い岩の隙間に数輪のピンクの小さなヒメフウロがかわいい。まるでシカから岩陰に隠れて咲いているよう。
近江展望台と記された辺りから次第に急な下りとなり、平たんとなった笹峠へ。もうこの名の名残はどこにもありません。峠からはよく踏み込まれた山道となり今畑の登山口に。ここには落合ルート通行不能とまた立礼があり、いやな予感。でも車は榑ヶ畑にあり歩いての迂回は不可能で計画通り汗フキ峠へのルートに進む。沢沿いの道は荒れ、特に1箇所、ちょっと大変な高巻きを強いられたが、何とか峠まで戻り、榑ヶ畑の登山口に帰りました。
ニホンジカ恐るべし、これが今回の印象でした。